アメリカでは「Super Typhoon」と呼ばれ、日本列島を直撃し特に、関東、東北圏で甚大な被害を起こしている台風19号。決壊や氾濫した10河川周辺の被害状況から台風19号の猛威をお伝えします。
河川の”堤防の”決壊
各地の河川の堤防を決壊した台風19号。決壊という言葉をニュースでよく耳にしますが、決壊には2種類あるそうでダムと堤防に分けられるそうです。今回は、堤防の決壊です。ダムが決壊すれば、河川が大氾濫を引き起こし大変な事態になるでしょう。多過ぎる雨量が予測される場合、ダムはあらかじめ放流されます。ダムの水量を減らし台風時により多くの雨を貯める為です。
決壊と越水の違い
・決壊・・・(ダムや堤防が)崩れること
国が管理する河川で堤防の決壊が確認されたのは、7つの河川のあわせて12か所
7つの県が管理する合わせて32河川40か所でも、堤防の決壊が確認されています。
・越水(えっすい)・・・(堤防のあるところで)水があふれかえること
・溢水(いっすい)・・・(堤防のないところで)水があふれかえること
・氾濫・・・(決壊、越水などで)水があふれかえっている様子
ダムや堤防が決壊すれば、必ず越水や溢水が起こり氾濫となります。ダムや堤防の決壊がなくても、雨量によって越水や溢水が起こり氾濫することもあります。
ダムの緊急放流って?
洪水調節と言って、台風で大雨が予測される場合、あらかじめダムの貯水量を減らす調整があります。ダムの貯水が雨量に耐えきれなくなれば、ダムは決壊します。今回の台風19号でも、ダムの決壊を阻止するために事前に洪水調節が行われてきたそうです。それでも、降り注ぐ雨が溜まりすぎて、ダム崩壊の危機が迫ったので、相模原市の城山ダムでは台風上陸中に緊急放流が行われました。バケツにたまった水をザーっとする様に、ダム内の水を放流し過ぎると、下流の河川があふれかえちとんでもない事態になりかねません。そのため、微妙な調整が必要です。
ダムの緊急放流?と何気にニュースで聞いていましたが、大変な局面だったんですね。
川の堤防の決壊による被害
堤防の決壊~7河川12か所(国が管理)はこちらです。
▽阿武隈川が福島県須賀川市浜尾
▽吉田川が宮城県大郷町粕川
▽都幾川が埼玉県東松山市早俣
▽越辺川が埼玉県東松山市正代と川越市平塚新田
▽那珂川が茨城県那珂市下江戸、常陸大宮市野口と伊勢畑
▽久慈川が茨城県常陸大宮市の富岡、塩原、下町
▽千曲川が長野市穂保
堤防の決壊~32河川40か所(県が管理)はこちらです。
▽福島県が14河川 ▽宮城県が5河川
▽茨城県が1河川 ▽栃木県が8河川
▽埼玉県が2河川 ▽新潟県が1河川
▽長野県が1河川
越水があった河川や氾濫した河川
越水があった22河川(国が管理)はこちらです。
▽阿武隈川 ▽多摩川 ▽千曲川
▽鬼怒川 ▽吉田川など
越水などで氾濫した181河川(県が管理)。
▽青森県で1河川 ▽岩手県で3河川
▽宮城県で16河川 ▽福島県で30河川
▽山形県で4河川 ▽茨城県で18河川
▽群馬県で2河川 ▽栃木県で23河川
▽埼玉県で23河川 ▽東京で5河川
▽神奈川県で3河川 ▽山梨県で5河川
▽新潟県で5河川 ▽長野県で14河川
▽静岡県で27河川 ▽三重県で2河川
各地に焦点をあててみた
長野県
堤防が決壊した10河川の被害状況とは?
70メートルもの堤防が決壊し、完全に水が引くまで2週間はかかるとされる長野県の千曲川の様子です。
13日午前8時15分地点で千曲川の決壊や氾濫で19名が死亡、負傷されている方も多数、16名が行方不明、2万7千人もの自衛隊が救助活動中です。長野市ではヘリコプターによる救助で消防学校の体育館に避難された方もおられます。特に被害が大きい地域である佐久市では住宅や店舗が押し流されたり、住宅が水に浸かり身動きがとれない状況だったそうです。
水が大きなのこぎりの様に見えてきました。
東御市(とうみし)では、川の増水で橋につながっていた道路が橋が崩落。行方不明者は4人。怪我をした人はいなかったのが何よりですが、通行止めになってしまっているので、早く復興して欲しいものです。
上田市は幅50メートルほどえぐられている堤防が決壊するかも知れないそうです。
千曲市は千曲市役所付近がひざ下くらいまで浸水しました。
住宅地では床上浸水だなんて!堤防が壊れるって本当に恐ろしい事なんだなと。
堤防が決壊した理由
堤防はなぜ壊れてしまったのでしょう?その前に、堤防は何で出来ているのでしょうか?コンクリートで出来ているんじゃないの?な、なんと土なのだそうです!大きな砂粒の間に小さな砂粒を入れると強化されます。
土は何年たっても材料として劣化し弱くなることがなく、堤防の拡大や移設が簡単に行えるのです。日本には千年以上たった古い堤防もありますが、現在も立派にその役割を果たしています。
それでもなぜ今回は決壊してしまったのか?それは、水の重さに耐えられなかったからです。警戒レベル5(最高)の水量は堤防にとって想定外だったのでしょう。しかし、水の重さに耐えきれないと言っても重さだけでもなく、水が堤防を削って弱くしていき、ある一定の所で水に耐えきれないって訳ですから、風や水の流れも影響しているんでしょうね。東日本大震災の津波被害を思わせる光景が続きます。
新幹線の3分の1が廃車に?
長野市赤沼には新幹線の基地とも言われている「長野新幹線車両センター」が浸水、全車両の3分の1の10編成120両の新幹線が水浸しで廃車されそうです。ちなみに編成って何ぞや?って感じですが、編成は1本に置き換えてみるとイメージがわきますよ。10両の電車1つを10両編成と言ったりしますよね。もしくは、10両で編成されている電車→10両編成でもイメージがわきそうです。
宮城県
宮城県では、大郷町付近の吉田川(目印部分)が氾濫しました。
大雨警戒レベル5の河川の氾濫はここまで凄まじいものでしょうか。
茨城県
茨城県では常陸大宮市を流れる久慈川(地図の目印部分)の氾濫はじめ、北茨木市の大北川、筑西市の鬼怒川、水戸市の那珂川(なかがわ)で氾濫が起りました。
久慈川の氾濫があった大子町の被害状況は91歳の女性が死去、1人が行方不明、負傷者は14名だそうです。
埼玉県のときがわ町の都幾川(ときわがわ)や東松山市の九十九川の氾濫では、東松山市などの1市3町では、49人もの方が水に浸かり身動きが取れなくなったものの、無事救助されましたが、男女5名が体調不良で病院に運ばれたそうです。
埼玉県
埼玉県の越辺川(おっぺがわ)の氾濫では、
川の氾濫がここまで恐ろしいものかと実感します。食料不足のところもある様ですが今は大丈夫なのでしょうか。
特別養護老人ホーム「川越キングズ・ガーデン」では13日午前3時頃、1階建の建物が水浸しになり、職員と高齢者の合計225名がボートなどを使い2階に避難、現在は命に別状はないものの、すぐに元の生活に戻れない状況を早く何とかして欲しいものです。避難場所では、エコノミークラス症候群にならない様に足を動かす、歯の手入れは1日2回、睡眠リズムを乱さない様になど避難場所で過ごしやすくするためのパンフレットはこちらです。
14日地点のNHKニュースによると今回の台風19号による全国の被害状況、次のように伝えられています。
・死者:58人
・行方不明:15名
・けが:211人
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