2019年4月15日月曜日

上野千鶴子さんの祝辞に学ぶ

東京大学の入学式での祝辞で、上野千鶴子さんが述べられたこのような言葉が特に印象的だった。

女性学はベンチャー学問

学問と聞くと、スピード、広さというよりは深く狭く掘り下げて追及するというイメージがあったが、ベンチャー学問と聞くとスピード感、先進的という180℃ガラッとイメージが変化した。環境学、情報学、障害学もベンチャー学問の領域に入るらしい。

確かに、二酸化炭素の濃度削減や、温暖化問題、IT、発達障害など、つい最近取り上げられて話題になっている。時代によって、学問もニーズが変化し、それに対応することが求められているようだ。


意欲の冷却効果

ひと昔前までは、女性に対してこういうイメージを持つ人が多かった。

・どうせ女性なんだから
・女性らしく
・しょせん女の子だし

希望大学の判定はE判定だったAさん、担任の教師に「〇〇女子(大学)でいいのでは?その方が合ってるんと違うかな?」と全く希望していなかった、お嬢様系の女子大学を進められたそうだ。偏差値が足りないから指導することをせず、どうせ女性だからいいやん的で、〇〇女子大学に対しても、Aさんと保護者に対してもとんでもない発言だ。

この様に、女性だからという理由で、その人の意欲を失わせることを、”意欲の冷却効果”というらしい。これは、アドラーで言えば”勇気くじき”に他ならない。


知を生み出す知はメタ知識

メタにはこんな意味合いがある。

・高次な
・超
・~の後の

メタ知識とは、コロンブスの卵、ダイヤの原石のようなものだ。今ま人間が存在するのもメタ知識があってこそだ。上野さんは、東大生にメタ知識を学んで欲しいと述べたが、さらに輪をかけて、新しいメタ知識を生む新しい知識やメタメタ知識も生み出して欲しいと思う。

女性の管理職が少ない日本~こんな所にも理由あり?

上野さんが、ある東大女子のことについて祝辞内で触れていた。合コンでどこの大学と聞かれた場合、東大と言うと退かれるので、東京の大学と答えるというものだ。私も偶然、その場面をテレビで見ていた。東大女子は損だという内容だったと思う。確かに、東大女子で退く男子大学生は、まさに逆ジェンダー差別だ。しかし、テレビを見ていた時に思ったのは、東京の大学だと言った時のテンションで、東大ですと言えば退かれなかったんじゃないだろうかと。東大女子が悪いのではなく、その女性が自分が東大だとドヤ気分になってしまっている所つまり、単に言い方に問題があるのではないかと、東大女子ってカッコイイなと羨望の目を向けアイスクリームをシャリシャリ食べながら見ていた。しかし、上野さんの祝辞で、東大女子が東大女子と自己紹介する時にためらう事自体がジェンダー差別になっているということが分かった。そう、テレビを見ていた自分もいつのまにか東大女子を差別している男子大学生目線になっていたのだった。

女性が管理職の会社などを目にする時、女性が活躍している会社だと感心すること自体ジェンダー差別的だとも言える。女性は活躍して当たり前の社会にならないといけないと上野さんの祝辞で改めて考えさせれた。

上野さんは、大学よりも社会に出るとさらに、女性への差別は明らさまになると啓発している。会社での昇進などの他、せっかく社会に出たのにニートやひきこもりになったり、結婚の壁でキャリアを捨てた人、下げた人も多いのが今の日本だ。親は親で、大学まで行かせたのにと嘆き、自分達は自己肯定感が下がっていく一方だ。女性が女性らしくなったのは、女性が育児や家事をしてきたからである。男性も育児や家事をすることでお互いの立場を理解し合える環境づくりをしていかなければならない。男性っぽい女性、女性らしい男性がいてこそ、差別のない優しい社会になっていくのではないだろうか。

一方で疑問符?

上野さんは入学生にこう伝えている。

”がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないように”

会社で例えるなら、管理職が超スーパープレーヤーに、今君たちが表彰されるのは株主とCEOのおかげだと挨拶するようなものだ。確かに、親御さん達は愛しい子のために、並々ならない努力をされてきた。しかし、今、入学したてのフレッシュすぎる若者達に、この言葉をかける事自体が勇気くじきになっていないだろうか?5月になると燃え尽き症候群が増えると言われている。それに加えて、自分の頑張った合格も親のおかげと言われてしまうと、自分って何だ?と自信を失わないだろうか。誰のおかげで食べられているんだと言う虐待する親発言につながっていないだろうか。もちろん、今自分があるのも、今までも親のおかげだと、しじみ味噌汁の様に五臓六腑に染みわたっている感はある。特に、自分が30を超えてからは。別に東大生じゃなくても、いつかは親のありがたみは年を重ねるごとにヒシヒシ分かるだろうから、喜びと期待と不安で一杯の入学生に言うのは少し酷?と思いながら、今日の日付を間違えていたことに気付いた。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html










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